
回転率という数字は、見るタイミングを決めてから測らないと、何の役にも立ちません。先月より上がった、下がったと一喜一憂する前に、「何と比べているか」を先に決めておく必要があります。私たちが熊猫商店で何かしらの施策を打つときも、まずこの比較の設計から始めています。
「先月比」では施策の効果がわからない
回転率は曜日・天候・近隣のイベント・season性など、施策以外の要因でも普通に動きます。先月と比べて回転率が0.2回転上がったとしても、それが席の配置を変えたからなのか、たまたま客層が変わっただけなのかは、先月比だけでは判断できません。
私たちが大事にしているのは、次の3点です。
- 施策を打った日をログに残す(いつ・何を変えたか。記憶に頼らない)
- 施策前4週間・施策後4週間など、同じ長さの期間で比べる(1日や1週間だと曜日のブレに飲まれます)
- 曜日・時間帯をそろえて比べる(金曜夜と火曜昼を混ぜて平均すると、変化が相殺されて見えなくなります)
以前の記事でも触れましたが、効果測定は「測った後」ではなく「測る前の設計」でほとんど決まると考えています。
客数と回転率、両方が動いたときの読み方
回転率が上がっても、客数自体が落ちていれば、店全体としては良くなったとは言えません。逆に客数が増えて回転率が下がっているなら、それは滞在時間が伸びて客単価が上がっている可能性もあり、悪い兆候とは限りません。
ですので、施策の前後比較では、回転率だけを単独で見るのではなく、次の組み合わせで見るようにしています。
- 客数(来店の絶対数)
- 回転率(席あたりの回転)
- 客単価(1組あたりの支払い)
この3つを同じ期間で並べると、「回転率は上がったが客単価が下がっていた」というような、1つの数字だけでは見えない動きに気づけます。売上という最終結果だけを見ていると、この中身の変化は見落とされがちです。
小さな店ほど、記録の手間を軽くする工夫が要る
正直なところ、こうした前後比較は、手元の集計表に数字を足していくだけでもできます。難しいのは分析そのものより、「毎日同じフォーマットで記録し続けること」のほうです。POSレジに客数・組数のデータがあるなら、それを毎回手で転記するのではなく、集計表に自動で流し込む仕組みを作っておくと、記録が途切れにくくなります。
私たちはこうした店舗データの取り込みを支援するお手伝いもしていますが、まず自分たちの店で同じ仕組みを使い、続けられるかどうかを確かめてから提案するようにしています。続かない仕組みを人に勧めることはできないと考えているからです。
比べる物差しを先に決めておく
回転率に限らず、店舗の数字は「上がった・下がった」だけを追いかけると、原因のわからない一喜一憂が続いてしまいます。施策を打つ前に、比較する期間・そろえる条件・一緒に見る指標を決めておくことで、数字が初めて「次に何をするか」の判断材料になります。
次に何か新しい施策を試すときは、効果を測り始める前に、まず「何と比べるか」を紙に書いてみることをおすすめします。