
セルフオーダーやPOSレジの導入支援でよくご相談いただくのが、「入れたのに、シフトがほとんど変わらない」というお悩みです。月額費用は確実に増えているのに、ホールの人数は導入前と同じ。これは機械の性能が足りないからではなく、注文データをシフトの組み方に使っていないことが原因だと、私たちは考えています。
「客数」で組んだシフトは、実は的を外している
多くのお店は、シフトを「何時にどれくらい混むか」という感覚で組んでいます。ランチは11時半から13時がピーク、だから人を厚めに、というような組み方です。
ところが、POSやセルフオーダーのデータを「注文が通った時刻」で見ると、感覚とずれていることが少なくありません。実際に混んでいるのは客が入ってくる時間帯であって、注文と調理が集中するのはその少し後だったりします。セルフオーダーを導入すると、このズレがより顕著になります。お客様が席に着いてすぐ注文を確定できるようになるため、厨房への注文集中タイミングが従来より前にずれることがあるからです。
人を減らす・増やすの判断を「客数の感覚」のままにしていると、せっかくシステムが集めているデータを使わずに、以前と同じ組み方を続けることになります。まずは直近2〜3週間分の注文データを時間帯別に並べ直すだけで、ピークの実態が見えてきます。
空いた時間を、先に決めておく
もうひとつ見落とされがちなのが、「セルフオーダーで空いた時間を何に使うか」を導入前に決めていないことです。
注文を取る作業が減った分、ホールスタッフの手は空きます。ここで何も決めていないと、空いた時間はただの手待ちになり、結果として人件費は変わらないまま「あれば楽になるはず」という期待だけが外れて終わります。
私たちが大事にしているのは、効率化そのものはゴールではなく、生まれた余白を何に使うかが本題だという考え方です。空いた時間を、例えば常連のお客様への声かけや、料理の説明、満足度の確認といった「会話」に使うと決めておくと、セルフオーダーは単なる省力化の道具から、接客の質を上げる道具に変わります。これは導入してから考えるのではなく、導入前にスタッフと一緒に決めておくことをお勧めします。
熊猫商店で見えたこと
名古屋・金山で運営している熊猫商店でも、セルフオーダーを入れた当初は「注文を取る手間が減った分、ホールが楽になるはず」という見込みで始めました。実際にやってみると、楽になった時間の使い方を決めていなかったため、しばらくはスタッフがただ手待ちになる時間が生まれていました。
そこから、注文データを時間帯別に見直してシフトの人数配分を調整し、空いた時間は常連のお客様との会話や、料理の説明に使うと決めてからは、人件費と接客の満足度の両方で変化を感じられるようになりました。機械を入れることと、運用を設計することは別の作業だと、自分たちの店で試して実感した部分です。
まとめ
セルフオーダーやPOSレジの効果は、導入直後のレジ前の様子ではなく、その後のシフト表と注文データの中に出てきます。明日からできることとして、まずは直近の注文データを時間帯別に並べ直してみること、そして空いた時間の使い道をスタッフと話し合って先に決めておくことをお勧めします。