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現場の運用が続くかは、迷った瞬間の決め方で決まる

現場の運用が続くかは、迷った瞬間の決め方で決まる

店舗のオペレーションを整えるとき、私たちはまず手順書を作ります。開店前の確認事項、注文の受け方、片付けの順番。どれも大切ですが、実際に現場が回らなくなるのは、手順書に書いてある通りに進む場面ではありません。書いてある通りに進まない場面、つまり「想定外」が起きた瞬間です。

手順書は「迷わない場面」しか守ってくれない

手順書は、想定した流れを再現するための道具です。言い換えると、想定していないことが起きたときには、手順書は何も教えてくれません。食材が急に欠品した、予約の人数と来店人数が違う、常連のお客様から普段と違う相談を受けた。こうした場面で現場のスタッフが止まってしまうのは、スタッフの能力の問題ではなく、「ここで誰が決めていいか」が設計されていないことが原因だと、私たちは熊猫商店の運営を通じて考えるようになりました。

止まったスタッフは、結局近くにいる人に聞きます。聞かれた人が店長なら早く解決しますが、店長が不在だと、判断は止まったままお客様を待たせることになります。これが積み重なると、スタッフは「自分で決めない」ことを学習してしまいます。良かれと思って手順書を増やすほど、現場の判断力はむしろ下がっていくという逆効果が起きます。

決めるべきは「答え」より先に「誰が決めるか」

そこで私たちが運用の見直しで最初にやるのは、個々の対応手順を書き出すことではなく、次の3段階に起きうる場面を分けることです。

  • その場のスタッフが即決してよいこと(金額的な影響が小さい、お客様への案内で済むもの)
  • 一言報告すれば進めてよいこと(判断は自分で行うが、後で共有する)
  • 必ず先に確認すること(金額や安全、他のお客様への影響が大きいもの)

この3段階は、業種や店舗の規模によって境界線が変わります。だからこそ「このケースはどう対応するか」を一つずつ決めるより先に、どの段階に該当する判断なのかという分類の基準を決める方が、結果的に早く現場に浸透します。基準が一つ決まれば、似た新しいケースにも当てはめられるからです。

熊猫商店で起きた、小さいけれど典型的な例

熊猫商店でも、麺の在庫が予定より早く減った日がありました。以前であれば、スタッフが厨房責任者を探して聞きに行き、その間お客様の案内が止まっていました。今は「売り切れ表示に切り替えて案内する」はその場で即決してよい対応と決めてあるため、スタッフはすぐにお客様へ案内し、後から厨房責任者へ一言報告するだけで済みます。逆に「仕入れ先を変えるかどうか」は必ず事前確認が必要な判断として残しています。影響がお客様1人の案内で終わる話ではないからです。

同じ「在庫が足りない」という出来事でも、影響の範囲によって決めてよい人と確認すべき人が変わります。この線引きを事前に持っているかどうかが、繁忙時に現場が止まるかどうかの分かれ目になっていると感じています。

小さく始めるなら、まず「よくある3つ」から

全ての判断を分類し直すのは現実的ではありません。私たちがおすすめしているのは、直近1か月で実際に現場が困った場面を3つだけ思い出し、それぞれ「即決」「報告」「確認」のどこに当たるかを店長とスタッフで一緒に決めることです。3つ決めると、残りの似た場面にも基準を当てはめやすくなります。

効率化や仕組み化は、それ自体が目的ではありません。判断が止まらない現場になることで生まれる余白を、お客様との会話や、スタッフ自身が働きやすい工夫に使えることが、私たちが本当に目指している状態です。

私たちは、こうした現場のオペレーション設計を、店舗や中小企業の皆様と一緒に考えるご支援も行っています。手順書を増やす前に、まず「誰が決めるか」を整理したいという方は、ぜひご相談ください。

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