
Google Workspace の Gemini まわりで、今月ちょうど大きな切り替えが始まりました。カスタムアシスタント機能「Gems」が「スキル(Skills)」という形に置き換わっていくというもので、Workspace 向けには10月5日から順次ロールアウトが始まっています。あわせて、Sheets や Gmail でもここ数か月で実務に効く機能がいくつか増えています。今日は、私たちが実際に触って「これは明日から使えそうだ」と感じたものを整理します。
Gems は「スキル」に変わります
これまでの Gems は、「この指示でいつも同じように答えてほしい」という設定を1つのアシスタントとして作る機能でした。今回のスキルは考え方が少し違い、Gemini が会話の中で「このタスクにはこのスキルが合う」と判断して自動的に呼び出したり、複数のスキルを組み合わせて使ったりできる、より小さな部品という位置づけです。
既存の Gems は自動的にスキルへ移行される予定ですが、今のところ Workspace とアプリ版の Gemini でスキルは別々に作る必要があり、Gems が参照していた Drive のファイルやノートブックとの連携はすぐには引き継がれないようです。「議事録の体裁を整える」「問い合わせメールの一次回答文を作る」といった、うちで Gems として作っていた定型の指示も、このタイミングで一度見直してみる価値があります。古い指示文のまま自動移行されるより、スキルという単位で作り直したほうが、結果的に使い勝手が良くなる場合が多いと感じています。
Sheets の入力作業を、Geminiに肩代わりしてもらう
地味ですが実務への効き目が大きいのが、Sheets の「Fill with Gemini」です。表の見出し(ヘッダー)と、すでに入力されている数行の内容からパターンを読み取り、残りの行を自動で埋めてくれる機能です。
使い方は2通りあります。1つは、1行だけ手で入力した状態でセルのフィルハンドルをドラッグする方法。表の文脈からGeminiが続きを提案してくれます。もう1つは、空の範囲を選択して表示される「入力」ボタンから、「お客様の声からポジティブ・ネガティブを判定して」のように、やりたいことを日本語の指示文で伝える方法です。Google が行った95人規模の検証では、100セル分の入力作業が手入力より9倍速く終わったと報告されています。
熊猫商店でも、仕込み表や発注リストのように「見出しは決まっているが中身を毎回打ち込む」台帳は少なくありません。列名を具体的に付けておく(「感想」より「お客様アンケートの感想」のように)ほど、Geminiが意図を汲み取りやすくなる点は、実際に触ってみて感じた小さなコツです。なお、この機能を使うには Workspace のスマート機能が有効になっている必要があるので、管理者の方は一度設定を確認しておくと安心です。
Gmail でも、読む作業から渡し始める
Gmail では、サイドパネルの Gemini が Web 版・モバイル版の両方に広がっています。長いメールスレッドの要約、返信の下書き作成、受信トレイや Drive 内のファイルから必要な情報を探す、といった使い方ができます。
以前の記事でも「読む仕事から任せる」ことをおすすめしてきましたが、この考え方は今も変わりません。スレッドが10往復を超えたメールを開いたら、返信を書く前にまず要約を頼んでみる。それだけで、本文を読み返す時間がかなり減ります。
小さく試して、感触を掴む
スキル、Fill with Gemini、Gmailの要約——どれも共通しているのは、「人が最終判断をする手前の、読む・整える・埋めるという作業をGeminiに渡す」という考え方です。派手な新機能というより、日々の作業の中にある小さな手間を一つずつ減らしていくものだと捉えています。
全部を一気に使いこなす必要はありません。まずは手元の台帳1つ、メールスレッド1本から試してみて、浮いた時間をどこに使うか——そこまで含めて、小さく回していただければと思います。